軽くて丈夫、日常使いの「米袋のバッグ」
食品などを大切に包んでくれていたパッケージ袋は、中身が無くなった途端にゴミ箱の中へ。
その動線に嫌気が差して、再利用し始めたのは数年前のこと。
当たり前のことだが、商品が買う人の手元に届くまでに破損しないように、パッケージ袋はとてもしっかり丈夫な作りになっている。
最近はチャック付きのタイプも多いので、「これを一度で捨てるなんて…」と言う心の叫びと共に即保管。 細々した文具をまとめたり、おやつを持ち歩くのに使ったりしている。
パッケージの大御所と言えば「米袋」
パッケージ袋の大御所と言えば、日本人の主食であるお米を入れる「米袋」ではないかと思う。
我が家は農家さんから直接お米を買わせていただいていて、そのお米を使い切るたびに、まだまだ使えそうな空の米袋を見ては「何かに使えるはず!」と、こちらも保管していた。大きさによって二重、三重になっていて、ちょっとやそっとでは破れない頼もしい米袋は、割れてしまった瓶や器などを処分に出す時に使ったり、野菜の収納袋に作り替えたりして使っている。
しかし使えば使うほど、そんな脇役だけにしておくのは勿体ないと思うほど、頼もしく丈夫な米袋。
他になにか主役になるような使い道はないかと色々と調べたところ、米袋で「バッグ」を手作りしている方のブログや販売サイトに辿り着いた。
「米袋のバッグ」を作っている人は世の中に一定数いるようだが、私の身近で出会ったことはない。
「自分で作ってみようかな…。」
一瞬、そんな考えがよぎった。
しかし、ミシンは子どもの通園準備のために必要になった友人に貸しているため、為手元にない。それに自分も今は動き回る二歳児がいるため、そんな中での針仕事は危険過ぎる…。あれこれ考えているうちに結局思いとどまり、作ってみたい気持ちを一旦仕舞った。
直売所での思いがけない「米袋バッグ」との出合い
そんな中、ほどなくして一度行ってみたかった直売所に足を運ぶ機会があった。
そこでふと目をやった手作り雑貨のコーナーに、なんと「米袋のバッグ」を見つけたのだ。しかも、無地の柿渋染め。
柿渋には、防虫・抗菌、防水効果などがあり、私はその色味も好きで、いつか使えるようにと自家製を仕込んだこともある。
まさに自分が作りたいと想像していたものが目の前に現れて、驚いた。
しかし産後出費に関してかなりシビアになってしまう自分がいて、「欲しいけれど、やはり紙製だし、丁寧に使わないとすぐに壊れてしまうかもしれない。今は買うべき時ではないよな」と、バッグの作りだけを確認し、一旦その場を離れた。
…が、やはり興奮する気持ちを抑えきれず「やっぱり欲しい」と購入したのだった。
持ち帰ってからも、そんな衝動買いをしてしまったことを夫に言えず、しばらく大事に眺めていたのだが、思い切って使い始めてみることにした。
子どもとの外出は、常に“念のため”を考えて準備しなければならない。私にとって、とてもストレスに感じるこの荷造りだが、米袋のバッグは「米30キロ用」の袋を使っているため、大容量なのがありがたい。
必然的に増える荷物もしっかりと収めてくれるし、底部分は作り替えて補強されており、通常の紙袋では入れてはいけないであろう重量であっても、きちんと支えてくれる。
柿渋染めの渋い見た目ではあるが、なんとも頼もしいマザーズバッグになっている。
またその質感は使うほどに柔らかくなり、紙製ということを忘れるほど。少々の雨に当たっても大丈夫。使い込んでも再び柿渋を塗り直すことで、防水効果も保てるし、もし破けても、別の米袋を好きな形にカットして貼り直して補修することもできる。
使うほどに佇まいも味がでる米袋のバッグは、まるで「育てる」バッグなのである。
米袋をすぐゴミにせずに、「何かに活用できれば」程度の話だったが、作ったバッグがこんなにも使い勝手が良く、愛着が湧くものになるとは思ってもみなかった。
「米袋のバッグ」が日常になる風景を夢見て
そしてこの4月に、この米袋のバッグの販売を始めた。
私が初めて購入したバッグよりも、さらに丈夫な作りになっている。
先日あるご夫婦が、米袋のバッグをお揃いで購入してくれた。
米袋のバッグを持つお二人の後ろ姿を見送りながら、米袋のバッグを持つ人が行き交う街の風景が浮かんだ。そんな日が来たら良いなと、想像しただけで嬉しさが込み上げてくる。
購入してくれた方々から、「米袋のバッグ活躍してくれているよ」とお声をいただけることもあり、思い切って行動してよかったと心底思う。
軽くて丈夫。世代や性別を問わず、ぜひ一度は使ってみてほしい「米袋のバッグ」。
“当たり前“にある物をいつもとは違う角度から見ることは、新鮮味があって楽しいものだ。
近ごろ、歳を重ねるにつれて、物事の考え方や見方が柔軟になってきたなと感じる。
その柔軟さをもって、「人生は楽しんだもの勝ち」と思うようにもなった。
派手じゃなくていい。これからも身近にあるものを工夫して、心も豊かに暮らしていきたい。
米粉のバッグについては、こちらでもご紹介しています▼
『ちいさな暮らしの店』:Instagram @chiikura2023
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