デンマークから学ぶ〝セカンドハンド〟のある暮らし

コラム

デンマーク滞在で出合った〝セカンドハンド〟

実は以前、デンマークに滞在していたことがある。
今から7年前ほど、「フォルケホイスコーレ」という現地のスクールに通うため、およそ5カ月間をデンマーク北部の小さな町で過ごしたのだ。
フォルケについてはまた別の機会に触れようと思うが、今回は、デンマーク生活の中で最も印象に残った“セカンドハンド”のカルチャーについてご紹介しようと思う。

人口が2,000人にも満たない小さな町であったにも関わらず、私の暮らしていたスカルスにもセカンドハンドショップがひとつあり、地域の人が積極的に利用していた。7年前の記憶が正しければ、スカルスのセカンドハンドショップは赤十字社(Røde Kors)によって運営されている店舗だったように思う。世界一の環境大国として知られるデンマークでは、赤十字をはじめとしてセカンドハンドを運営する組織がいくつかあり、日ごろのショッピングの選択肢としてごく当たり前に使われていた。

コペンハーゲンやオーフスといった大きな都市では、セカンドハンドショップの店舗数もさることながら、取り扱う商品の種類もぐっと多くなる。ファッションの類はもちろん、大きな家具・家電まで扱う店もあり、日常生活のほとんどのアイテムがセカンドハンドで揃えられると言っても過言ではない。
よく「北欧は物価が高い」と言う話を聞くが、確かに新品だけで生活を成り立たせようとしたらそうだろう。しかし一方で、この“セカンドハンド”を上手く活用することにより、デンマークの人々の暮らしは私たちが想像するよりもずっと、リーズナブルなものになっているようだ。

セカンドハンドとリサイクルショップの違い

ここでひとつ、考えてみたいことがある。デンマークの「セカンドハンドショップ」と日本の「リサイクルショップ」の違いについてだ。
デンマークのセカンドハンドの魅力をここまで語ってきたが、「いやいや日本にも似たような仕組み、あるでしょう?リサイクルショップですよ。」と思われた方もいるだろう。確かにこの二つはとてもよく似ているが、決定的に違う点がひとつある。“寄付”が基盤にあるか否かということだ。

私の知る限り、デンマークのセカンドハンドショップのほとんどが慈善団体によって運営されており、実店舗もボランティア運営されていることが多い。加えて店に置く商品は基本的に“寄付”であり、日本のように“買取”という仕組みは見かけなかった。私の暮らしていたスカルスでは、袋に入った“もう使わないもの”を近隣住民が店前に置いておき、それらを店番のおばあちゃんたちがきれいにして店に並べていた。

つまりは「商売」が一番はじめに来ていないのが、デンマークのセカンドハンドなのだ。
日本のように売買することによる利益獲得が目的ではないため、安く買って高く売るといった転売のような仕組みも生まれにくい。「私の使わなくなった物は、他の誰かにとっては必要なものかもしれない」というモノに対する根本的な姿勢が根付いており、それが寄付という善意によって成り立っているのだ。
こんな環境の中でデンマークの人々は、「モノを大切に使う」という精神を自然に育んでくのかもしれない。

福島にもセカンドハンドのスタイルを

先日、私の住む須賀川市にて「すかがわ軒先市」なるものが開催された。
その名の通り、自分たちの使わなくなったモノをそれぞれの軒先に並べて、売ってみようという取り組みだ。小さい軒先ながら私も参加させてもらって、“もう使わないけど、まだ使える”モノを並べてみた。値段は数十円から数百円。来た人には安すぎて驚かれたりしたが、なんとなくあのデンマークのセカンドハンドを思い出して、これで良いのかもしれないと思っていた。

ビジネスではない、善意から成り立つ経済循環もあっていいはずだ。
そのひとつとして、デンマークのセカンドハンドから私たちが学べることは多いだろう。

佐藤美郷

南相馬市出身、須賀川市在住。『ff_私たちの交換日記』エディター。3.11を機に「衣食住美」の大切さに気づき、2020年に夫と『guesthouse Naf...

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