バルクストアってなに?21世紀の”量り売り”の可能性。
みなさんは「バルクストア」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
「BULK(バルク)」とは英語で“大量の”とか“ばらの”と言った意味合いがあり、バルクストアとは好きな量だけ購入できる「量り売りの店」のことを指します。
欧米諸国やオーストラリアなどの環境先進国ではすでに浸透しているバルクストアですが、日本ではまだまだ萌芽期。昨年2021年に京都市内にてゴミを出さないスーパーマーケット「斗々屋(ととや)」がオープンしましたが、この規模でのバルクストアの開業は国内ではじめてだと言います。
今回はそんな「バルクストア」について、その良さと課題についてff編集部の視点を交えてご紹介します。
バルクストアの良いところって?
量り売りだから何が良いの?という素朴な疑問について、バルクストアの良いところを3つにまとめてみました。
包装材を減らせる
量り売りなので包装が少なくて済みます。包装材としてのプラスチックの使用を減らすことで、環境への負荷も減らすことができます。店によってルールは異なりますが、基本的には1)消費者が容器を持参、あるいは2)店で容器を購入の2パターンがあります。
食品ロスを減らせる
飽食だと言われている日本での食品ロスは年間約570万トン(2019年時点)で、そのおよそ半分が家庭での食べ物の廃棄によるものだとか。家庭での食品ロスの原因のひとつが、買い過ぎによる賞味期限切れでしょう。「食べる分だけ、食べられる分だけ」を購入できるバルクストアでは、食品ロス軽減も見込めます。
生産者側のコスト化カットにもなる
「梱包する」という手間と梱包材がカットされるので、生産者やメーカー側のコストが下げられます。その分、売値を抑えて提供したり余力を商品開発に当てることも可能なので、結局は消費者にとってもメリットとして返ってきます。
バルクストアの課題点は?
残念ながら、日本での「量り売り文化」の浸透は欧米に比べて遅れています。いくら環境に良いとは言え、普段の暮らしの中で求められなければ、ビジネスとしては成り立ちません。例えば先にご紹介した斗々屋のように、国内有数の電子はかりメーカー「㈱寺岡精工」と協働し、買う側にも使いやすい量り売りのシステムを構築するなどして、バルクストアが広まりやすい仕組みづくりが求められていると言えます。
日本国内のバルクストア5選
欧米に比べてスローな日本のバルクショップ展開ですが、その店舗数やニーズは増えてきています。ここでは、日本国内で展開している代表的なバルクストアを5つご紹介します。
nue by Totoya 国分寺店
東京・国分寺の「カフェ・スロー」内に常設さてれている「nue ny Totoya(ニュ・バイ・トトヤ)」では、カシューナッツ、アーモンドなどのナッツ類や茶葉、パスタやドライフルーツなどを取り扱っています。輸入商品については欧州のオーガニック認証取得商品したもの、国産商品については化学合化学肥料を使用しない商品をセレクトし、有機農業の普及も目指しています。
Bio c’ Bon
フランス発のオーガニック・スーパーマーケット「Bio c’ Bon(ビオセボン)」。国内では関東を中心に30店舗近く展開(2022年時点)していますが、店舗内には量り売りの「バルクフーズ」が用意されています。扱う商品はナッツ類やドライフルーツ、チョコレートなどです。
ecostore
ニュージーランド発の自然派洗剤ブランド「ecostore(エコストア)」では、液体洗剤の量り売りを行っています。「リフィルステーション」と名付けられた量り売り専用店では、蓋の閉まる容器を持参すれば好きな量だけ洗剤を購入できます。リフィルステーションは福島県内でも数か所展開されています。
無印良品 東京有明
関東最大の旗艦店としてオープンした「無印良品 東京有明店」。ここでは無印良品店舗初となる量り売りのコーナーが設けられています。コーヒー、ナッツ、ドライフルーツ、パスタ、米などが20gから購入でき、専用の計量器に置くと自動で値段ラベルを出力してくれる仕組みです。
斗々屋 京都本店
京都市内にオープンしたスーパーマーケット「斗々屋 京都本店」では、取り扱いの約1000点すべての商品を量り売りしています。㈱寺岡精工が開発した高精度のモーションセンサーを使い、多品目の中からでも正確に計量できるサービスを提供しているので、従来の量り売りよりもスムーズに購入することが可能です。
福島県内のバルクストア
まだまだ少ないながらも、福島県内にもバルクストアが出てきています。郡山市周辺のバルクストアをピックアップしました。
AMEKAZE
三春町と郡山市に2店舗展開している「AMEKAZE(アメカゼ)」では、オーガニックのナッツやチョココーティングのスーパー フード、ドライフルーツや砂糖不使用のチョコレートなどを量り売りしています。
SHIZEN TO KURASU evostore Rifill Station
ecostoreのリフィルステーションとして、郡山市に2店舗と本宮市に1店舗を展開している「SHIZEN TO KURASU」。前述の通り、マイボトルを持参して好きな量だけ洗剤を購入することができます。
これからの日本のバルクストアに期待
まだまだこれからといった日本のバルクストア事情。店舗数も現状では東京や京都などの都市部に集中しており、全国的な広まりを見せるには、まだもう少し時間がかかるかもしれません。一方で、福島をはじめ地方の特に過疎地域では、大型スーパーの一極集中による「買い物をする際の足問題」が目立ってきています。免許返納をした高齢者や車を持たない若者が増える中、地方でこれから“どう買うか”というのは喫緊の課題と言えるでしょう。昔はどんな田舎にも個人商店が一つや二つあったとか。そういった意味で「バルクストア」とは、地方でこそ求められている買い物の形なのかもしれません。お財布にも環境にも社会にも優しい“21世紀型量り売り”がこれからどう展開してくか、今後の動きに期待です。
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