福島の素材を使った「そばチャイ」が出来るまで

チャイは好きですか?
少し唐突過ぎたでしょうか。前回初めての記事にたくさんの反応をいただき、ありがとうございます。第2回目は”私の好き”と福島を掛け合わせて見つけた食の可能性について書きたいと思います。
さて、チャイは中国語の「茶 chá」に由来しており、ロシア語、ペルシア語、トルコ語でも茶を「チャイ」といいます。世界的には茶葉に香辛料を加えた「マサーラー・チャイ」のことをを指すようです。
私とチャイとの出会いは、インド旅に初めて行った時。人々の熱気と意外と寒い夜風を同時に味わった夜行列車の中でした。遠くから聞こえてくる「チャーイ、チャーイ」という声に誘われて、知らない環境で初めて口にした、あの強烈に甘くてスパイスがガツンとくる、それでいて穏やかにミルクとマッチした味…。
あれ以来、私はチャイの虜になったのです。
インドでの劇的出会いを果たしてから、またあの感動に出会いたい!自分で作れるようになりたい!と思いたち、その研究のためにチャイを求めて様々な場所を訪れました。福島県内、日本国内のお店や海外の家庭で作るものまで。
そんな中で気がついたことがあります。
チャイは自由だ。ということ。
実はどんなスパイスを使ってもいいし、どんな種類のミルクでもいい。もちろん茶葉もなんでもOK。日本のみそ汁のように、作る人によって味が違うのがチャイの良さなのかもしれないと。
「そば」を使ったチャイって、どう?
福島で活動する彼(現:夫)との関係の中で、私も福島と何か関われないかと考えたとき、ふと、この「チャイ」が頭をよぎりました。スパイスも茶葉もなんでもOKというチャイの懐の広さにも惹かれ、そのときピンときた「そば」を使ってみるのはどうかと思いついたのです。ちなみになぜ「そば」かと言うと、彼と私が暮らす福島県田村市都路地区の「グリーンパーク都路」という広場では、毎年秋になると赤い花を咲かせる「赤そば」が有名だったから。また、3.11後の原発事故による放射線除染後の圃場で、試験的にそばを栽培しているという地元の人の話もあり、これを活用できたらいいなと思っていたのも後押しとなりました。

「グリーンパーク都路」の赤そば畑
まずは市販されているそば茶用のそばの実を購入し、普段チャイを作るときと同じ手順で作りました。いざ飲んでみると…何かが違う。スパイスもそば茶も香りが薄く、口の中でばらばらに存在している。そんな感じでした。
おいしいの感覚は十人十色だと自分に言い聞かせ、試しに彼に飲んでもらうと…
やはり微妙な反応。
その後もやり方を少しづつ変えながら試す日々。
純粋なそば茶だけを淹れて、スパイスと煮込んだミルクをコップの中で合体させてみたり、そばの実をすりつぶしてミルクに混ぜてみたり。
まずくはないがまた飲みたいと思える味に出会うには、それなりの回数を重ねました。

そばチャイが出来上がるまでは、試行錯誤の日々。
そば茶×チャイの完成
福島の素材を使った「そばチャイ」は、彼がつくる「そば粉ワッフル」とともに、主にキッチンカーで提供しています。屋号を『Kokage Kitchen』とし、県内外の様々な土地におもむいて、たくさんの方に味わっていただきました。初めての提供はそれはそれは緊張するもので、どんな反応がいただけるのかソワソワだったのを覚えています。
そんな毎回の緊張の中、「おいしかったからまた飲みたくて」と、一度購入いただいたお客さんがまた飲みにいらしてくれることが何度かありました。その当時は「とにかく嬉しい」このひと言につきました。ほっとした気持ちと、食を組み合わせることの可能性が広がった気がしました。

キッチンカーでの販売の様子。パートナーと。

そば粉のワッフルも人気
寒い時期にほっこり!そばチャイのレシピはこちら
素朴な味わいが人気のそばチャイ。実は材料さえ揃えれば、ご自宅でも作れてしまうのです。
今回は特別にその作り方をご紹介します!
《材料》
- 牛乳(もしくは好きなミルク)
- 好きなスパイス(おすすめはカルダモン、クローブ、シナモン、生姜)
- はちみつ
- そば茶用の実
- 少しの水
《作り方》
- 小さな鍋に1㎝ほどのお水とスパイスを入れる。※スパイスは潰しておくと香りが出やすいです。
- ゆっくりクツクツ煮詰める。
- スパイスで水が茶色くなった頃、そば茶用の実を入れ、さらにクツクツ。
- そば茶の香りも立ってきた頃、ミルクを飲みたい分だけ鍋に注ぐ。
- ミルクが吹きこぼれる寸前までクツクツ。
- 吹きこぼれそうになったら、鍋を持ち上げ火から離す。再度火に近づける。
- はちみつを鍋にひと回し。
- 次の吹きこぼれ寸前で火から離し、コップに移す。この時、ザル等でスパイスを取り除きます。
- ホッとひといき
- お水とスパイスと鍋に投入。クツクツ煮詰める
- スパイスが煮立ってきたら、そば茶の実を投入
- ミルクを好きな分だけ入れたら、吹きこぼれる前に火を止める。
- ザルでスパイスを漉しながら、カップに注いで完成!
いかがですか?意外と簡単かも!と思っていただけていたら嬉しいです。
これからの寒い季節にもぴったりなので、ぜひ試してみて下さいね◎
そばチャイだけでは留まらない、福島の‘おいしい可能性’
こちらのそばチャイは、現在キッチンカーのみでの提供です。出店の頻度も限られているのですが、そばチャイ提供の日はお知らせしますので@kokage_kitchenのお知らせをチェックしてみてください。また、キッチンカー出店の頻度を減らしている大きな理由が、彼が新たな挑戦を始めているためです。
福島県川内村の豊かな水と、日本原種のボタニカル(香りの素材となる植物)を利用した「蒸溜酒」を世界に届けるプロジェクトです。土地の香り、地域の香りが、海を越え世界の誰かの元へ届く。そんな未来を想像すると今から胸が高鳴ります。
大学生で起業してから走り続ける彼の行動力には目を見張るばかりですが、次回はぜひ福島で走り続ける彼の活動について、私の視点からご紹介できればと思います。
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